演奏会

京都フィルハーモニー室内合奏団第143回定期公演

京都コンサートホール小ホール。数人から数十人のグループが、大企業を出し抜くというのは、IT業界のごく普通の光景ですが、音楽でも、小編成の合奏は、「小さな(色々なものが足りない)管弦楽」ではなく、組織や合意形成のありかた(アンサンブル)から根…

川中恵子ソプラノリサイタル

いずみホール。前半のみ(シューマン/「ミルテの花」抜粋、團伊玖麿「抒情歌」、オペラ「夕鶴」より)。高音が響かず、ピッチや音色が安定しないなど、発声にやや無理があるのかな、という印象を受けました。ピアノ、川中恵子。

ユーリー・バシュメット&モスクワ・ソロイスツ合奏団

京都コンサートホール。ピリオド奏法を逆手に取ったシンセサイザー合成のような音響(バッハ「ブランデンブルク協奏曲」第6番)、弦楽器の生理と呼吸(チャイコフスキー「弦楽セレナード」)、渋くくすんだ音色(モーツァルト「協奏交響曲」変ホ長調)。世…

J-CLICK THE TAP Foot Voice Vo.7

ワッハホール。タップとアイリッシュ・ダンスで耳になじみのある曲を踊っていくステージ。テクニックを磨いて、様々な見せ方ができるようになれば、面白くなりそうです。

大山紗代フルートリサイタル

ザ・フェニックスホール。全体に小さくまとまりがちではありましたが、無茶をしない良心的な演奏ではあったと思います。ドニゼッティ「ソナタ」、ムチンスキー「ソナタ」、ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」、尹伊桑「歌楽」、シューベルト「しぼめる花に…

芹澤佳司ピアノリサイタル〜バルトーク(没後60年)の世界〜

イシハラホール。荒削りとも思える弾き方ではありますが、バルトークが掬い上げようとした凶暴さ、敏捷な身体感覚、色彩感を捉えることに成功していたように思います。「アレグロ・バルバロ」、「左手の練習曲」、「2つのルーマニア舞曲」、「舞踏組曲」、…

山本英二・楠本隆一ピアノデュオリサイタル

ザ・フェニックスホール。柔軟で良識的な山本英二と、楽器をコントロールしきれずに、つい強めに叩いてしまう楠本隆一。お二人のスタイルが相当に違っていて、やや落ち着きの悪い演奏でした。モーツァルト「ソナタ」K.448、ラフマニノフ「組曲第2番」、ドビ…

吉川隆弘ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。指が先に動いてしまうというタイプの演奏。ブラームス「パガニーニ変奏曲」を快速に弾き切ったのは大変なことだと思います。他にベートーヴェン(「月光ソナタ」)とショパン(「舟歌」、「マズルカ」嬰ハ短調op.50-3、「英雄ポロネ…

世宗文化会館・ソウル市オペラ団公演 金東振「沈清(シム・チョン)」

午後、アルカイックホール。春の関西二期会ソウル公演などとともに「日韓友情年2005」の企画のひとつ。歌手の水準は高く、パンソリの歌唱法とオペラの管弦楽効果を組み合わせた作曲は、手堅い仕事と思いました。張允聖、指揮、ザ・カレッジオペラハウス管弦…

ザ・タロー・シンガーズ第12回定期演奏会

午後、ザ・カレッジ・オペラハウス。ドイツの二重合唱を集めたプログラム(シュッツ、メンデルスゾーン、ラインベルガー、ブラームスなど)。パート数が多い分、個々人の負担がやや大きかったのかもしれません。透明な発声、スムーズな流れを重視した軽いア…

京都市交響楽団第481回定期演奏会

京都コンサートホール。ブラームス「交響曲第1番」では、決め打ち的に弾こうとする京響と、音にたわみ、ふくらみをもたせようとする指揮者、大山平一郎がかみ合っていない印象。ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」の独奏、長岡純子さんは、芯のある音、…

荒憲一ピアノリサイタル

イシハラホール。モーツァルトの作品集。ニ短調とハ短調の幻想曲で、重い音を打ち込む気合い、ソナタK.330、K.331のややくすんだ感じの柔らかさは、晩年のバックハウスなど一昔前の演奏を思い起こさせるものでした。

油井宏隆バリトン・リサイタル

いずみホール。ヘンデル、スカルラッティからドニゼッティ、ヴェルディ、チマーラまでのイタリア・アリア集ですが、声に伸びがなく不安定で、いまひとつ楽しむことが出来ませんでした。ピアノ、藤江圭子。

中野慶理ピアノリサイタル

いずみホール。背景を限界まで希薄に抑えて、メロディを浮かび上がらせるドビュッシー(「夢」、「ロマンティックなワルツ」、「スティリー風タランテラ」)はユニークで意欲的な演奏でした。他に、ショパン「マズルカ」op.33-4、op.33-2、フランク「前奏曲…

ベートーヴェンとの対話 四方恭子・河野文昭・河野美砂子によるベートーヴェンピアノトリオ全曲演奏会第3回

午後、京都府立府民ホール・アルティ。楽器間の音量のバランスは前回よりもかなり改善されていましたが、ピアノ(河野美砂子)に、ヴァイオリン(四方恭子)、チェロ(河野文昭)を生かし、立てるだけの余裕がない状態だったのは残念に思いました。曲目は「…

エスペリオンXXI

ザ・フェニックスホール。「ドン・キホーテ」とセルバンテスの時代の音楽というテーマで16、17世紀スペインの歌と舞曲。ステージも客席も、普段のクラシック・コンサートとは違うオシャレでくつろいだ雰囲気でした。ヴィオラ・ダ・ガンバのサヴァールがリー…

松下悦子ソプラノリサイタル

いずみホール。前半がシューマン(「ミニヨン」)、リスト(「ペトラルカのソネット」)、三善晃(「抒情小曲集」、詩:萩原朔太郎)、後半が雨にまつわる日本とドイツの歌曲という、この人らしい多彩で興味深い選曲。歌はやや生真面目で、リストなどおとなし…

大阪フィルハーモニー交響楽団第391回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。大植英次指揮によるマーラー「交響曲第3番」(メゾソプラノ:坂本 朱、合唱:大阪フィルハーモニー女声合唱団、大阪すみよし少年少女合唱団)。この作品には、独唱・合唱が加わるというだけでなく、独白調の語り(第1楽章のトロン…

かんでんクラシック・イン・京都 西本智実指揮京都市交響楽団

午後、京都コンサートホール。前半、渡邊玲奈の独奏による2つのフルート協奏曲(ジョリヴェとモーツァルト第2番)がお目当て。技術的には安心して聞くことができましたが、もっと思い切った表現で仕掛けないと、オーケストラに埋もれてしまう。そこが協奏…

室内楽友の会299回例会パスカル・ロジェ、小林美恵デュオ・リサイタル

京都府立文化芸術会館。ブラームス「ソナタ第3番」、シマノフスキ「神話」、ドビュッシー「ソナタ」、プロコフィエフ「ソナタ第1番」という大きな作品ぞろいのプログラムで、パスカル・ロジェの明晰で立体的なピアノが揺るぎない柱のように演奏を支えてい…

読売日響名曲シリーズ

ザ・シンフォニーホール。指揮、飯守泰次郎。シベリウス「フィンランディア」の関西ではちょっと聞けない金管楽器の重量感、「ヴァイオリン協奏曲」の戸田弥生の集中力が印象に残りました。他に交響曲第1番。

三戸久史 古典クラリネット・ファンタジー

ザ・フェニックスホール。古典クラリネットとフォルテピアノ(山名敏之)でウェーバーやシューベルトを吹く興味深い企画ですが、三戸さんの演奏は線が細く、ベアマンの表現力に富んだ演奏を想定した作品(ウェーバー「ジルヴァーナ変奏曲」やメンデルスゾー…

囃子堂〜和の室内楽空間・音満月・音新月〜

京都コンサートホール小ホール。能のお囃子を音楽としてコンサートホールで鑑賞しようという夏の企画も3年目で、すっかり定着したように思います。「お囃子は、各人が気合いを込めて演奏すれば自ずと合う。周囲に合わせようとすると、かえって力がなくなる…

FAZIOLIレクチャーライブ、「大人のピアノ/子供のピアノ」(ピアノ:向井山朋子)

午後、栗東芸術文化会館さきら大ホール。第1部、ファツィオリのピアノに関する調律師、狩野真によるレクチャーと、第2部、向井山朋子によるピアノ演奏会の前半を聞きました。ファツィオーリのピアノは、ハンドメイドと聞いていたので古い製法を伝承してい…

「ミート・ザ・プロミシング・アーティスツ2005」Vol.1

いずみホール。昨年大阪文化祭奨励賞を受けた高木和弘(ヴァイオリン)と松村英臣(ピアノ)が出演。人工的に音を操作する高木(サン=サーンス「協奏曲」第3番)と、ひとつひとつの音型を表現として切り出す松村(ベートーヴェン「協奏曲」第5番)は、改…

ユダヤ声の万華鏡

ザ・フェニックスホール。前半のエリ・ベシャリは、イエメン系の歌をステージ化した、いわば「ワールドミュージック」系の人。後半のエレサレム・アデス・シナゴーグの宗教歌(シリア系)は、はっきりした導音進行のあるユダヤ的な歌と、アラブ的な旋法とが…

生誕250周年記念モーツァルト・ツィクルスNr.7 堀正文&迫昭嘉デュオリサイタル

京都コンサートホール小ホール。編曲とオリジナル、初期のオブリガートつきクラヴィアソナタと後期のデュオソナタなど、様々な二重奏を組み合わせた面白いプログラム。けれども、このお二人のように、品質の揃った音で、ある種「決め打ち」の弾き方だと、ど…

京都市交響楽団第478回定期演奏会

京都コンサートホール。尾高忠明らしいポーランド20世紀音楽特集。バヌフニク(「シンフォニア・コンチェルタント」と「カティンの墓碑銘」)はひどく薄味の音楽で、エミリー&キャサリン・バイノンの独奏が清潔だったという程度の印象。シマノフスキーのシ…

関西フィルハーモニー管弦楽団第176回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。前半のブルックナー(「序曲ト短調」と「テ・デウム」)は、オーケストラが音を「生きたライン」として保持できないので、オルガン風、教会音楽風の響きにならず。ソリストでは、高島依子(ソプラノ)は素直な発声。後半、シューベ…

長岡京室内アンサンブル第15回演奏会

午後、神戸新聞松方ホール。前半のモーツァルト(「ディヴェルティメント」K.136と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」)は、長岡京のこれまでの演奏の中でも群を抜いて繊細で密度の濃い演奏でした。事前に一週間、鳥取県で合宿したそうですが、比較的ゆっ…