マックス・ラインハルトの「真夏の夜の夢」

これがどういうものなのか、とにかく観ないことには始まらない、と思っておりましたが、ふとしたことでDVD化されていると知り早速入手。

真夏の夜の夢 / シェイクスピア名作映画集 CCP-304 [DVD]

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ラインハルトの夢幻劇がどういうものなのか、最初にこの映画が重要そうだと思ったのは、随分前にザルツブルク音楽祭の成り立ちを知ったときだったと思いますが、

音楽祭の社会史―ザルツブルク・フェスティヴァル (りぶらりあ選書)

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  • 作者: スティーヴンギャラップ,Stephen Gallup,城戸朋子,小木曾俊夫
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 1993/03
  • メディア: 単行本
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何年か前に戦前の朝日会館の機関誌「DEMOS」を調べたら、戦前に日本でも公開されていたようなんですよね。知られざる名作、とかではなく、同時代には随分有名な作品だったみたいで、だったらなおさら、観ないことは始まらないではないか、と思った次第。

ヨーゼフ・ラスカと宝塚交響楽団‐付録CD「ヨーゼフ・ラスカの音楽」 (阪大リーブル038)

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宝塚の指揮者として来日したラスカも夢幻劇をいくつか書いていたようですが、映画「真夏の夜の夢」も舞踊が音楽と演劇の仲を取り持つ形になっていて、第一次大戦後のアヴァンギャルドなムジークテアターだとか、モダンダンスだとかについていけない人たちにとっては、この路線だったら世紀末以来の耽美的な欲求を満たしつつ程よいエンターテインメントとして安心して楽しめますから、それで夢幻劇が1920〜30年代の中欧で流行して、さらに演出家・作曲家とともにハリウッドへ飛び火したんでしょうね。そっちはそっちで、トーキーになってミュージカル映画花盛りでしたから……。ちょうど、ミュージカル市場に「エリザベート」のようなヨーロッパものが参入したような感じだったのでしょうか。

一方、日本の舞台にこの系統はどれくらい影響を与えたのか、実は戦前はクラシック・バレエより先にこういうのが伝わって、それが戦後の舞踊ものの隆盛を準備したのではないかという気がするのですが、そこはまだよくわかりません。

画面を人力の様々な効果でびっしり埋める制作スタッフの視覚的欲望はすごいな、と思います。オベロンが退場するときの巨大なマントが一面に広がってはためくところとか、舞台でやっても効果満点だっただろうと思う。

オリヴィア・デ・ハヴィラントのデビュー作で、コルンゴルトの映画音楽の仕事(メンデルスゾーンの音楽そのままではなく、他の曲と組み合わせたり、様々にアレンジしたり、新たに曲を書き足したり、色々手が込んでいる)もここからはじまる。

コルンゴルトのマニア界隈での人気は、最近ちょっと高すぎるのではないかとは思いますが……、

エロール・フリンの冒険もので、オリヴィア・デ・ハヴィラントのお姫様のバックには、以来ずっとコルンゴルトのゴージャスな音楽が鳴るわけですね。

海賊ブラッド (Captain Blood)  [DVD]

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