デュポンのライターの開く音と閉じる音

オーディオ器機からカメラ、貴金属というように、大栗裕とともに「昭和の男のアイテム」を振り返るサイトになりつつあるが(笑)、遂にデュポンのライターである。

ちょっと前まで、ドラマで福山や織田がカッコつけて、「キーン」「シュポッ」とやっていた、あれである。

過去の型式のことをネットで調べようとすると、ほとんどの画像がオークションサイトの出品で、いまなお現役で売買されているらしきコレクションアイテムである。

大栗裕が購入したのは1970年頃で、ライン1ショート、と呼ばれるタイプであるらしい。この型式は、ライン1(ロング)と呼ばれるタイプを短くした1960年代から続く「デュポンのライター」の基本形で、2014年に完全に製造中止になったそうだ。

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一方、開くときに「キーン」と甲高い音がするのは、そのあとに出たライン2、とりわけ、それを短くしたギャツビーと呼ばれる1980年代からのモデルであるらしい。(ライン1Sより、ギャツビーのほうが細身。)

デュポンといえばギャツビーの開閉音ということになっているようで、YouTubeには、いくつか動画がありますね。

大栗裕所蔵のデュポンは、開いても「キーン」という音はしない。YouTubeを見ても、ライン1Sは「キーン」とは鳴らないようだ。

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ただし、ネットをながめていると、

開くときの「キーン」という音は、実は偶然の産物であって、いい音が鳴ることを狙って設計したわけじゃないので、取説にも音のことは載っていない

と書いてあったりするのだが、これはなかなか微妙かもしれない。

大栗裕所蔵のデュポンの取説には、たしかに「開く音」のことは書いていないけれど、蓋を「閉じる音」については、職人の高度な精密加工で、実に気持ちのいい音がします、と書いてある。しかも、音を聞くだけのために開け閉めすると、ガスが無駄になるので気をつけてね、とも書いてある。

  • (1) 蓋の開閉音、とりわけ、「閉じる音」は、職人の技術の証であるという風にデュポン社自身がライン1の段階でアピールしている
  • (2) ただし、ライン2以後の開くときの「キーン」については、偶然の産物で品質の証なのかどうかは定かではない
  • (3) でも、ライターといえばデュポンで、蓋を開けると「キーン」という音がする、というイメージがドラマやアニメのSEで広まって、ライターの開閉音といえば、「カポッ」と閉じる音より、「キーン」(開く音)のほうが強調されて今日に至る

話は、三段構えになっているようだ。