2005-01-01から1年間の記事一覧

読売日響名曲シリーズ

ザ・シンフォニーホール。指揮、飯守泰次郎。シベリウス「フィンランディア」の関西ではちょっと聞けない金管楽器の重量感、「ヴァイオリン協奏曲」の戸田弥生の集中力が印象に残りました。他に交響曲第1番。

大植英次バイロイト音楽祭記者会見(2)

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大植英次さんのバイロイト音楽祭出演が今年かぎりになった話で、以前、レポートを書いたシンポジウムのことを思い出しました。シンポジウム・レポート「現代におけるヴァーグナー上演の意義と問題」 http://www3.osk.3web.ne.jp/~tsiraisi/musicology/articl…

大植英次バイロイト音楽祭記者会見

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*追記あり午前11時、リーガ・ロイヤルホテル。ドイツから帰国直後の大植英次氏による記者会見にご招待いただきました。会見内容は多岐に及びましたが、バイロイト出演が今年かぎりになったことについての直接的な説明は、次のようなものでした。 当初の契約…

増田聡「その音楽の<作者>とは誰か」(3)

まず、本書成立の周縁事情について。本書のあとがきに、大阪大学文学研究科に提出された学位論文にもとづいていると記されています。私の母校でもある学校です。おそらく他校でも同様のことが起きているかと思われますが、私たちが在籍した研究室では、90年…

三戸久史 古典クラリネット・ファンタジー

ザ・フェニックスホール。古典クラリネットとフォルテピアノ(山名敏之)でウェーバーやシューベルトを吹く興味深い企画ですが、三戸さんの演奏は線が細く、ベアマンの表現力に富んだ演奏を想定した作品(ウェーバー「ジルヴァーナ変奏曲」やメンデルスゾー…

増田聡「その音楽の<作者>とは誰か」(2)

excite. Booksのインタビュー 第15回 パクりパクられて生きるのさ - 増田聡インタビュー其の二 http://media.excite.co.jp/book/daily/friday/015/で興味をひかれたので、途中をとばして(乱暴な読み方で申し訳ない)、終章「<作者>の諸機能」を読んでみま…

増田聡「その音楽の<作者>とは誰か」

増田聡さんの新著、ひとまず、最初の方を拝読しました。増田聡「その音楽の<作者>とは誰か - リミックス・産業・著作権」(みすす書房)ISBN:4622071258特に、クラブ・ミュージック小史は、知らないことばかりで面白かったです。ただ、後半の核になってい…

囃子堂〜和の室内楽空間・音満月・音新月〜

京都コンサートホール小ホール。能のお囃子を音楽としてコンサートホールで鑑賞しようという夏の企画も3年目で、すっかり定着したように思います。「お囃子は、各人が気合いを込めて演奏すれば自ずと合う。周囲に合わせようとすると、かえって力がなくなる…

FAZIOLIレクチャーライブ、「大人のピアノ/子供のピアノ」(ピアノ:向井山朋子)

午後、栗東芸術文化会館さきら大ホール。第1部、ファツィオリのピアノに関する調律師、狩野真によるレクチャーと、第2部、向井山朋子によるピアノ演奏会の前半を聞きました。ファツィオーリのピアノは、ハンドメイドと聞いていたので古い製法を伝承してい…

「ミート・ザ・プロミシング・アーティスツ2005」Vol.1

いずみホール。昨年大阪文化祭奨励賞を受けた高木和弘(ヴァイオリン)と松村英臣(ピアノ)が出演。人工的に音を操作する高木(サン=サーンス「協奏曲」第3番)と、ひとつひとつの音型を表現として切り出す松村(ベートーヴェン「協奏曲」第5番)は、改…

ユダヤ声の万華鏡

ザ・フェニックスホール。前半のエリ・ベシャリは、イエメン系の歌をステージ化した、いわば「ワールドミュージック」系の人。後半のエレサレム・アデス・シナゴーグの宗教歌(シリア系)は、はっきりした導音進行のあるユダヤ的な歌と、アラブ的な旋法とが…

ルネ・マルタン氏来版

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たまには、ブログ風に他の方のサイトに言及しましょう。「熱狂の人」ルネ・マルタン氏が来阪(おかかダイアリー) http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2005/07/post_90fa.html「熱狂の日々」音楽祭のプロデューサー、ルネ・マルタン氏が、関西での「熱…

生誕250周年記念モーツァルト・ツィクルスNr.7 堀正文&迫昭嘉デュオリサイタル

京都コンサートホール小ホール。編曲とオリジナル、初期のオブリガートつきクラヴィアソナタと後期のデュオソナタなど、様々な二重奏を組み合わせた面白いプログラム。けれども、このお二人のように、品質の揃った音で、ある種「決め打ち」の弾き方だと、ど…

京都市交響楽団第478回定期演奏会

京都コンサートホール。尾高忠明らしいポーランド20世紀音楽特集。バヌフニク(「シンフォニア・コンチェルタント」と「カティンの墓碑銘」)はひどく薄味の音楽で、エミリー&キャサリン・バイノンの独奏が清潔だったという程度の印象。シマノフスキーのシ…

関西フィルハーモニー管弦楽団第176回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。前半のブルックナー(「序曲ト短調」と「テ・デウム」)は、オーケストラが音を「生きたライン」として保持できないので、オルガン風、教会音楽風の響きにならず。ソリストでは、高島依子(ソプラノ)は素直な発声。後半、シューベ…

長岡京室内アンサンブル第15回演奏会

午後、神戸新聞松方ホール。前半のモーツァルト(「ディヴェルティメント」K.136と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」)は、長岡京のこれまでの演奏の中でも群を抜いて繊細で密度の濃い演奏でした。事前に一週間、鳥取県で合宿したそうですが、比較的ゆっ…

びわ湖ホール声楽アンサンブル第28回定期公演「ふたりの愛が永遠につづくのなら…」〜オペラにおける不変の愛〜

午後、びわ湖ホール中ホール。松尾葉子の指揮で、モーツァルト「魔笛」とウェーバー「オベロン」の抜粋。「魔笛」は、ストーリーの説明などもなく、有名な曲を順に歌うのみ。「オベロン」は、蔵田裕行の語りで筋を追いながら、うまく構成されていました。(…

大阪フィルハーモニー交響楽団 いずみホール・コンサート・シリーズVol.10

ザ・シンフォニーホール。ゲルハルト・ボッセは、大フィルと初共演。この人は、ドイツの伝統的なレパートリーについて確固としたイメージがあって、それを細かく要求していくタイプなのだろうと思います。ただし、棒の技術がある人ではないので、リクエスト…

岩崎宇紀ピアノリサイタル 遮られない夢

ザ・フェニックスホール。ロシアの、ソ連によって消された過去というと、まず最初に思い浮かぶのは(そして最近、ピアニストの方々の間でも人気があるのは)、アメリカへ渡ったラフマニノフやホロヴィッツ、あるいは、パリへ逃れた亡命者たちが温存していた…

ピアノトリオの夕べ 〜ワルシャワ・フィル コンサートマスターを迎えて〜

いずみホール。難曲に果敢に挑戦した南依里(アレンスキー「ピアノ三重奏曲第1番」)、素直な弾き方の安藤真理(ドビュッシー)、手慣れた様子で堂々と渡り合う久下真理(ショーソン)。三人が、ワルシャワ・フィルのコンサートマスター、ピオトル・ツェギ…

第73日本音楽コンクールフルート部門1位受賞記念 渡邊玲奈フルートリサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。昨年の同じ場所でのリサイタルに比べて、一段とスケールの大きい演奏。全体に自分のペースでどんどん進めて、ピアノ(長尾洋史)とのアンサンブルというより、伴奏つき協奏曲のような感じではありましたが、コンクール…

新・音楽の未来への旅シリーズ いずみシンフォニエッタ大阪第10回定期演奏会

午後、いずみホール。ハイドン「交響曲第30番」(相変わらず、この団体が古典曲を弾く理由は不明)に続いて、西村朗のピアノ協奏曲「シャーマン」(日本初演)。ピアノとオーケストラの関係を巫女と周りを囲む群衆にみたてた作品。明確な中心主題をもつわかり…

タリス・スコラーズ演奏会

京都府立府民ホール・アルティ。純度の高い響きなのに、どこか暖かみのある声。こういう演奏でイギリス・ルネサンスの宗教曲を聞くと、翻って、フランドルのオケゲムやジョスカンの音楽(シェーンベルクやウェーベルンが夢中になった)は、15、16世紀の音楽…

アンサンブルりくむコンサートVOL.4<ドイツバロックの巨匠たち>(京都)

京都市北文化会館。22日と同内容の京都公演。大阪に比べるとコンディションがよく、演奏・進行もこなれていたように思います。

アンサンブルりくむコンサートVOL.4<ドイツバロックの巨匠たち>(大阪)

自由空間ミューラシア(大阪、阿波座)。バロック・フルートの太田里子とチェンバロの三橋桜子。既に一般のコンサートホールにも出演しているお二人が、昨年から小さな空間で続けているデュオ。町工場の中の民家の一室を使ったギャラリー。音響的には、やり…

ゲルトルート・シルデ(vn)&クラウス・シルデ(pf)デュオリサイタル

ムラマツリサイタルホール大阪。バッハとロマン派(シューマン、メンデルスゾーン)、同時代の作品(ベルント・フランケ)を組み合わせた歴史的プログラムといい、骨太のフーガ(「半音階的幻想曲」)、つぶやくようなシューマン(「アラベスク」、「ヴァイ…

京都市交響楽団第477回定期演奏会

午後、京都コンサートホール。プラハ交響楽団との合同演奏。チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」(京響)は、大友直人さんらしいスマートな仕上がり。また、大友さんは、合同演奏(レスピーギの交響詩「ローマの松」)のようなお祝いの仕切…

ボロディン弦楽四重奏団演奏会

ザ・フェニックスホール。前半のベートーヴェン(弦楽四重奏曲第4番)とシューベルト(四重奏曲断章)では、ヴァイオリン、ヴィオラの三人の細い針に糸を通すような弾き方を、やや窮屈に感じました。設立以来のメンバーのチェロ、ベルリンスキーの厳密さを…

玉井菜採ヴァイオリン・リサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。年1回計3回の「演奏家支援シリーズ」の2回目。3回でバルトークの無伴奏ソナタ(昨年)、ヴァイオリンソナタ第1番(今年)、第2番(来年)を弾くのが企画の柱で、今年は、ハンガリーのヴァイオリニスト、アラーニ…

ショパン2005 ピアノに託した想いVol.1 ラン・ラン「若き日の夢」

いずみホール。コンサート本編(モーツァルトのピアノソナタK.330、ショパンのピアノソナタ第3番、夜想曲op.27-2と遺作嬰ハ短調、ワルツop.70-3、「 (遺作),アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」、タン・ドゥン「水彩による8つの思い出」)…