2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

(……)

(フォーレをフォレと書いたり、ブーレーズをブゥレーズと書くのは、たぶん「文字の力」への信心。吉田秀和がそのように書いたのだから、私はそこへ帰依します、という宣言なんだろうな。バッハをバハと書かないのは、経典(吉田秀和)にそのような表記がな…

表音文字の宗教、表意文字の宗教

チカマツがアヴァローキテーシュヴァラ・ボーディサットヴァの像の所在地を織り込んだ娼婦の叙事詩をオーザカのプッペンテアターのために書いたことは、どこでどうやればどれくらい人の興味を惹くものなのか。何かやり方はありそうな気がするのだけれど。ポ…

Shin Buddhism in Japan

虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか作者: ロジェ=ポルドロワ,島田裕巳,田桐正彦出版社/メーカー: トランスビュー発売日: 2002/05/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (7件) を見る

同じ単語の繰り返し

1週間で続けて3つオペラを観たので、どの公演だったかすぐには思い出せないのだけれど、台本原文が同じ単語(固有名詞)の繰り返しで、2度目はやや強く言う、というような場面で、字幕が「○○だよ。[改行] そう言ってるだろう。」という風になっていて(細…

ウプサラのワーグナー

ヴァーグナーとインドの精神世界 (叢書・ウニベルシタス)作者: カールスネソン,Carl Suneson,吉水千鶴子出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2001/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

レコードはプロデューサーの作品だったりするかもよ

大栗裕の小狂詩曲をオランダ王立海軍軍楽隊が演奏したレコードが1968年末に発売されているのだが、これは当時、日本ビクターにいた井阪紘がフィリップス・レーベルの音源に新録音を加える形で企画した国内盤吹奏楽シリーズの1枚だった。(当時のバンドジャ…

ウィーンのアンダーグラウンド

私は、シューベルトが孤独で気弱な引きこもりのイメージを身にまとっているのは、王政復古期のウィーンで官憲・検閲を逃れて自由人として活動しようとした一種のアナーキストだったからなのではないか、という1970年代のドイツで流行った説が当たっているの…

WCブルックナー

休憩中の男子トイレの行列がやたら長くなるのは大阪フィルだけじゃないらしい。(そういえば、児玉宏・大阪響のときもそうだな。)

仏教問題

仏教と西洋の出会い作者: フレデリック・ルノワール,今枝由郎,富樫瓔子出版社/メーカー: トランスビュー発売日: 2010/09/02メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (3件) を見る

承前:むき出しの対人関係

少しずつ問題の所在を特定できつつあるような気がするのですが、パルジファルのああいう上演・演出は、たとえば、社会学者さんが論壇向けに仕掛けた議論で言うところの「虚構の時代」を一度チャラにしないとしょうがないんじゃないですか、という提案と受け…

2006年のフィンランドにも3人の僧侶が出たらしい

ドイツ語(とたぶんフィンランド語?)による公演評PDFへの直リンクですが、http://www.suomenwagnerseura.org/wagneriaani/s05/59-61.pdf載ってる写真からLEDの光の道や衣装を確認できますし、本文を読むと、クプファーは2006年のフィンランドの演出ですで…

リゴレットのハシゴ

ということで関西へ戻ると連休中にオペラ二連発なわけだが、みなさん、歌手の名前とか指揮者がどうだとか原作との照合だとか、そんな風な「情報」にまどわされないで、「舞台」をみなきゃダメですよっ!一番最初に何が見えましたか?リゴレットがハシゴをよ…

補足

単なる枝葉末節の話なのではないか、という起こりうる疑問に対する答えをいちおう書いておくけれど、舞台で高いハシゴを使うのは、足下が不安定で演者を危険にさらすわけだから、演出家が頭の中で着想したとしてもそれだけでは実現しない。めちゃめちぇ色々…

ワーグナーと分業・王座と官僚制

オペラの運命―十九世紀を魅了した「一夜の夢」 (中公新書)作者: 岡田暁生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2001/04メディア: 新書購入: 7人 クリック: 37回この商品を含むブログ (37件) を見る

日本ワーグナー協会機関誌

ワーグナーシュンポシオン2014作者: 日本ワーグナー協会出版社/メーカー: 東海大学出版部発売日: 2014/07/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

「そんな救済あるわけないじゃん」

とクプファーがホントに言ってるのか、確かめるために初台へ。

ご来迎:クプファーの知覚演出

大栗裕に見せたかったラスト。ある意味「神仏習合」ですよね。猛烈なヤッチャッタ感。 - 帰宅したのでもうすこし書きます。みなさん、ひょっとすると、いわゆる「ネタバレ」を怖れて感想を曖昧にぼかしていらっしゃるのかと思うのですが、プログラム買ったら…

日本語の音楽分析入門書がない

楽譜でわかる クラシック音楽の歴史: 古典派・ロマン派・20世紀の音楽作者: 広瀬大介出版社/メーカー: 音楽之友社発売日: 2014/06/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

音楽学にも「広報」が要る

一説によると、音楽学は総合大学における文系がそうであるように、実技系大学における「役立たず」とみられてしまう可能性が高く、口先ばっかりで人や金を生まないと思われる可能性が高いらしい。先に音楽分析のことを書いたが、「例えばこういう本を皆さん…

予測と勧告

人間の制御を越えた自然現象について、ヒトは事実を観察して、ありうべき仮説をもとに「予測」する以上のことはできない。事実の広報と、それを読みとくリテラシーを教育するのが本筋で、無知による無茶は誰も責任をとれないし、とりようがない。人間集団が…

Georg von Dadelsen 'Es gibt keine schlechte Musik, es gibt nur schlechte Interpreten'

In: Martin Bente (hrsg.), Musik, Edition, Interpretation: Gedenkschrift Günter Henle, 1980, 125-132.岡田暁生が阪大の助手で、これ読むぞ、と何人かの院生に声かけてた頃、きみはまだ阪大へ来てなかったんだっけ? バッハ新全集の編者のひとりで知られ…

ルールに照らし個々人の判断で動く人々

日曜は母のいる八尾に泊まったのでテレビを視ることができて、ブロムシュテットのあとにホグウッド(京都でも東フィル(だったと思う)で20世紀プロやりましたよね、かなり前に)の追悼という順番は、偶然とはいえ、いいのか?と思ったあと、阪神巨人師匠が…

"Zum 90. Geburtstag Takashi Asahina"

NDRのアーカイヴにある朝比奈隆の60〜80年代の録音が7枚組のCDになっているのは、たぶん、その道のファン/コレクターの方には周知なのだと思いますが、当時の批評記事をチマチマ読む作業を続けている今、取り寄せて聴いてみると感慨深い。あっちこっちのオ…

代役の可能性

(事件を知った新垣さんが、すぐさま代役の指揮者を買って出て、事なきを得た、とかだったらめちゃくちゃかっこよかったのに……という空想が頭をよぎってしまったので、あとで後悔する事態に発展するかもしれないけれど、いちおうここに書き留めておく。)

神通力指揮者

ブロムシュテットが日本人(NHK)好みの、身体の切れがなくなって神通力で指揮する老人になっていることに驚く。そら、こんな姿をみたらオーケストラは最高の演奏しようと思うで、それは「人の道」や。それはええねんけど、こんなんナマで現場で聴いて、単に「…

忖択する防犯防災

最近の厳重な防災は、まるで空襲訓練みたいですよね。色々「忖択」しまくってるんだろうな。(警察に自ら同意して出頭したり、警察の判断で逮捕された段階では、犯罪を疑われているだけで、まだなにも確定していない、とか、そういうのはどっかいっちゃったみ…

将軍たちの外交

フランスでロシア音楽が受けたのは、「ドイツ憎し」がこうじて、敵の敵は味方である、みたいな帝国主義の外交ゲームの感じがありますよね。で、そういうのは会社の派閥争いとか戦国大名好きとかに近いモードの話の展開になりがち。「アイツがそうなら俺はこ…

「あの配置、いつものことなので今さら驚かれても……」

(ノリントン&チューリッヒ室内管が大阪のみ、東京を素通りしたことに関西人がガッツポーズの図、は、まあ、それでいいと思うのだけれど、あんな風な配置のピアノ協奏曲は、既にN響などでもやっていたのをテレビで観た記憶がある。そこは、「ああ、またやっ…

高学歴指揮者

朝比奈隆の演奏に対する欧州での批評を順番に読むと、どうやらやはり、最初のベルリン・フィルのときにDie Weltにでたシュトゥッケンシュミットの評は抜群に優れていて、あれを前にすると他は色あせますね。(なんだか、大久保賢の才能信仰めいた物言いにな…

オルフ、メシアン、シュトックハウゼン