ヨドバシでカメラ書籍の棚をながめていたら、木之下晃に遭遇してしまった。
モノクロ写真塾―モノトーンの表現力と黒白写真の魅力を再発見する (日本カメラMOOK)
- 出版社/メーカー: 日本カメラ社
- 発売日: 1994/11
- メディア: 単行本
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94年に出たムック本で、あとがきには「カメラといえばカラー全盛だが」とある。デジタルのことなど眼中にない『日本カメラ』である。
2009年に重版が出たのは、今も需要があるということなのでしょうか。
写真家のみなさんが作品とエッセイを寄せているなかに木之下晃がいる。
燕尾服の黒の階調をどのように撮るか、フィルムへのこだわりはもちろん、現像液も自家製スペシャルブレンドだ、というようなことを書いていて、木之下晃の写真のキャプションに
「ニッコール400mmF2.8・絞りF2.8・1/25秒」
というように撮影情報が入っているのは、音楽雑誌では見かけない光景で新鮮。
モノクロームこそが写真のクラシックである、と言いたいときには、木之下晃ですね。
ロリン・マゼールは木之下晃の黒を「オリエンタル・トーン」と形容したそうだ。輸入文化としてのクラシック音楽とモノクーム写真、戦後ニッポンの聴覚文化と視覚文化の交点に木之下晃がいる、というような構図で何かが言えそうだ。ニコンとオザワですからね。