2007-01-01から1年間の記事一覧

ウィスペルウェイのブラームスと佐藤美香のリスト

CD

「音楽現代」5月号のCD評ではこの2枚を担当しました。(ウィスペルウェイはAmazonで扱っていないようなのでタワーレコードへリンク。) ヨハネス・ブラームス(1833−1897): チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 Op.38 チェロ・ソナタ ニ長調 Op.78 (原曲:ヴァ…

大阪フィルハーモニー交響楽団第407回定期演奏会

指揮:大植英次、ザ・シンフォニーホール。昼間の仕事の都合で遅刻して、後半のショスタコーヴィチ交響曲第5番しか聴けなかったので書くのは遠慮しようかとも思ったのですが、色々と大事な節目の演奏会だったのかな、と思うので感想を。まず、なんとなく煽…

音楽とロマン主義

(4/22追記:romanticの語源の話の最後に絵画と歴史観のことを書き足しました。)(4/22追記その2:ロマン派のオーケストレーションの話のあとに、オーケストレーション=音の「化学」であろうという話から、19世紀の科学と芸術の関わりについて、やや長め…

【再掲】ウィキペディアの使い方

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原稿と授業の準備でなかなか更新できないので、ひとまず、埋もれている過去ログのリサイクル。^^;; - 今週からどこの大学も新年度の授業が始まっているようで、私も書類で今年の段取りを確認したり、講義の準備をしたりしているのですが、最近は、学生さんが…

ファリャとラヴェルとミヨー

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京フィルの定期公演、4月分も曲目解説を書かせていただいております。 京都フィルハーモニー室内合奏団第152回定期公演「南欧を愛した作曲家たち」 2007年4月21日(土) 14:30 開演、京都コンサートホール小ホール 指揮:手塚 幸紀 ファリャ バレエ「恋は魔術…

京都フランス音楽アカデミー アンサンブル・スペシャル・コンサート2007(4月1日、京都府立府民ホール・アルティ)

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内側から何かを絞り出すのではなく、音の運動に身を委ねること。 今年で18回目になる京都フランス音楽アカデミーの講師陣のアンサンブル・コンサート(4/1)。「日経新聞」大阪本社版、本日の夕刊に批評を載せてもらえるようです。このシリーズについては、…

伊東信宏編「ピアノはいつピアノになったか?」

今日は、午後からザ・フェニックスホールの2007年度自主公演の発表記者会見に行きました。公演については、ホールのホームページなどに順次情報が出てくると思います。http://phoenixhall.jp/sponsor/index.html(←ここに出ている以外にも、バボラク(Hr)&竹…

ベートーヴェンといえば「合唱幻想曲」

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感動して反射的に反応したくなったので。 思いつき&僕の好みの問題ではあるけれど、「ゲット・アップ・ウィズ・イット」は、ベートーヴェンでいえば「合唱幻想曲」あたりかもしれません。 http://yamaonosuke.blogzine.jp/honke/2007/04/post_1.html

音楽の冗長性と王侯貴族の感性について

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コンサート会場で音を立てると説教される問題がどう推移しているのかは、全然知らないのですが、前から思っていることに関連づけると、少し書けそうな気がしてきたので、そんな話。 - 18世紀の音楽会が、歌ありコンチェルトありのごちゃまぜでダラダラ何時間…

モーツァルトのザルツブルク時代のミサ曲

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仕事の合間の雑談です。今、「戴冠式ミサ」のことを調べていて、改めてアーノンクールのモーツァルトの宗教曲集を聞き直したり、モーツァルト:宗教音楽全集第2集(戴冠式ミサ/ヴェスペレ)アーティスト: アーノンクール(ニコラウス),アーノルト・シェーンベル…

ボリス・ベクテレフのスクリャービンと山形交響楽団

CD

「思わずたじろいでしまう太さ」「合意の上で一緒に絶頂へ」……突然、何の話かと思われてしまいそうですが(そうでもないですか?)、スクリャービンです。

ベーゼンドルファー ピアノセミナーI ピアノが語る演奏者へのヒント

この日は朝11時から約一時間、新大阪の日本ベーゼンドルファーのショールームでのセミナーを聴講しました。講師は同社東京技術課の村田公一さん。(引き続き、午後から室内やホールでの音響に関するセッションがあったのですが、私は京都へ移動したので、こ…

大阪シンフォニカー交響楽団第115回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。指揮、大山平一郎。 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲(独奏、チョー・リャン・リン) 同 交響曲第3番 「大山&シンフォニカーにハズレなし」、もうそういう風に言い切って良い気がします。いつもにも増して突飛な比喩になってし…

トスカニーニvsフルトヴェングラー?

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今日は、原稿の合間に書ける、ふと思いついた軽い話。どこで見つけたのか記憶が定かではないのですが、「アーノンクールは古楽界のトスカニーニ、ブリュッヘンは古楽界のフルトヴェングラー」というような指揮者評を少し前に見かけました。個人的には、「ア…

モーツァルトの交響曲第40番

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曲目解説の仕事で、モーツァルトの「40番」の楽譜を久しぶりに見直していました。この曲の解説を書かせてもらうのは今回が初めてで、色々気付いたことがあるのですが、具体的な分析は、内容的にも分量的にも、とてもパンフレットの解説には盛り込めそうに…

篠田正浩が語る武満徹

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(補足:3/3分として、「交響曲とは」的な文章も書いてみたので、よろしければ、こちらもどうぞ。→id:tsiraisi:20070303#p1)おお、これは必見かも。 NHK教育テレビで毎週火曜日に「私のこだわり人物伝」というのを放送していますが、3月の放送分は映画監督…

交響曲の「本来の迫力」(とされるもの)について

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前回の補足。前のエントリーでちょっと言及した「交響曲の<本来の迫力>」とされるものについての美学論議。音楽史の授業というようなことをやっていると、例えばベートーヴェンの交響曲は、要するにどこが凄いのか、というようなことを学生さんに納得して…

ゲルハルト・ボッセのメンデルスゾーン

先月の大阪センチュリー定期(2/16、ウェーバー「オイリュアンテ」序曲、ベートーヴェン「交響曲第2番」、メンデルスゾーン「スコットランド交響曲」)と、今日の神戸室内合奏団定期(メンデルスゾーン「最初のワルプルギスの夜」、「スコットランド交響曲…

オーケストラのある種の「迫力」について

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なんらかの集団合奏(オーケストラや吹奏楽やギター・マンドリン部や男声合唱……)をやっていた人ならご存じかと思いますが、大人数の音楽では、ある種のヘタクソな演奏が迫力満点に聞こえることがあります。概して、リズムが揃っていない演奏はいかにもヘタ…

作品目録番号(ケッヘル、ドイッチュなど)の話

etc

とある事情で、演奏会のチラシやパンフレットの表記を校正する仕事をここ2年ほどやっています。今日は、そういうことをやっている中でわかったことや、考えたこと。(もしかすると、既にどこかに書かれている内容と重複してまっているかもしれませんが……。…

大阪フィルハーモニー交響楽団第405回定期演奏会

大植英次さんが出演できなくなって(ドイツで療養中のようですね)、急遽クラウス・ペーター・フロールの指揮で、曲目もモーツァルトの交響曲40番とチャイコフスキー「悲愴」に変更された演奏会(ザ・シンフォニーホール)。本当に色々なことを思いつく指揮…

関西の「顔が見える」小ホール (2) ザ・フェニックスホール

etc

大阪駅東口から南へ梅田新道を下って、国道2号線との交差点に立つ高層ビル、ニッセイ同和損保フェニックスタワーの1〜4階部分がザ・フェニックスホール。http://phoenixhall.jp/あいうえお順ではなくなってしまいますが、イシハラと比較しやすそうなので…

要するに異国趣味?(再び「熱狂の日」2007)

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マルタンさんからは「民族のハーモニーというテーマにした理由の一つは、作曲家たちが最初に親しんだのはそれぞれの国に伝わる民謡だったんじゃないか、と思えることなんです。彼らはそれを生涯の中で芸術へと突き詰めていったんじゃないでしょうか」という…

関西の「顔が見える」小ホール (1) イシハラホール

etc

やくぺん先生、渡辺和さんのブログのホール芸術監督の話が面白かったです。 特に、この数日そこかしこで出会う音楽ファン、「マニア」と呼ばれるほどの知識と見識の持ち主の方々が、「日本に芸術監督ってそれっかいないんですか」とビックリしている。 http:…

音楽家育成のアウトソーシング?

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今日は漠然とした話。さっきN響アワーみていて、ふと気づいたら、今N響の定期の指揮者は音楽監督以下、ほとんどが外国人なんですね。東京の他のオーケストラもここ数年で、名前の通った外国人を常任指揮者に迎える形がすっかり常態化したようで……。日本人…

アファナシエフのベートーヴェン(サントリーホール・ライブ2005)

CD

「音楽現代」3月号が届いていました。今月のCD評は東京クヮルテットのベートーヴェン「ラズモフスキー弦楽四重奏曲」と、アファナシエフの2005年サントリホールのライブ盤(オール・ベートーヴェン)の2つを担当しました。新メンバーが入ってスタイルが若…

「熱狂の日」音楽祭2007プログラムに見る第二次世界大戦の影??

etc

東京のゴールデンウィークの「熱狂の日」音楽祭は、初回に長岡京室内アンサンブルの公演を1回聴いただけなので、ほとんど部外者ですが。id:tsiraisi:20050430#p1今年のプログラムが発表になったようですね。 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日…

大植英次さん入院

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大フィルからFAXでプレスリリースが届きました。「謹告:指揮者・曲目変更のお知らせ」として、大フィル第405回定期演奏会(2/22、23)と第44回東京定期演奏会(2/25)について、 [……前略……] 指揮者、大植英次が、頸部を痛め、医師より4週間の入院静養を勧…

エルサレム弦楽四重奏団

夜、神戸新聞松方ホール。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。前半が第1、12番、後半が第8番。悠然と弾いている姿も、弓が弦に吸い付くような弾き方も、いかにも東欧から来たスタイルという感じですが、過剰にねっとりしたものではなくて、普通に上手いな…

大阪シンフォニカー交響楽団第20回いずみホール定期演奏会

「朝日新聞」の批評欄などでもご活躍のバルトーク研究家、伊東信宏さん(阪大の先輩……)が、数年前ザ・フェニックスホールで、堺市の山本宣夫さんのコレクションなどをベースに、クリストフォリのレプリカからコンピュータ制御の試みまで、ピアノの300年の歴…