戦後関西音楽小史 - 大栗裕を中心に(はびきの市民大学):進行状況のご報告

先日ご案内させていただいた市民講座。

http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20091114/p1

話の内容や、思わぬ発見、受講生の皆様の反応から教えられたことなど、書きたいことは山のようにあるのですが、とりあえず、私自身のことはともかく、講師をお願いした演奏家の先生方の回について、お礼の気持ちを込めつつご報告。

先週は、ヴァイオリンの北浦先生、ピアノの藤井先生においでいただいて、貴志康一と大栗裕の作品を弾いていただきました。

北浦先生は、貴志康一の芦屋の家(震災後に解体されて今はない)や、吹田のお母さんの実家、西尾邸の演奏会でも弾いていらっしゃって、一方、お父様が辻吉之助さんの晩年の主治医で、辻久子さんとは家族でおつきあいのあった方。その思い出も語っていただき、辻久子さんのことを、改めて身近に感じていただけたのではないかと思います。

今週は、テノールの小餅谷先生、ピアノの矢崎先生に松村禎三「沈黙」を演奏していただき、言葉の問題を中心に、歌手の視点からかなり突っ込んだお話をお聞きすることができました。

小餅谷先生は関西歌劇団で大栗裕の「赤い陣羽織」と「夫婦善哉」に出演していらっしゃいますし、先日ご出演された関西二期会「フィデリオ」の演出家、栗山昌良さんは、若い頃、武智鉄二演出の舞台を関西まで来て、何度もご覧になったとのこと。(栗山さんは、そのことを「フィデリオ」プログラムにも少し書いていらっしゃいましたね。)

森繁久弥さん追悼の意味も込めつつ、映画「夫婦善哉」(1955)と、大栗裕の「夫婦善哉」(1957)の同じ場面の比較もやってみました。実際に出演した小餅谷先生のコメント付きで映像を見ていただき、皆さん楽しんでいただけたようで、なによりでした。

これに先立つ講座の最初の5回は、わたくしの用意した素材を使って進めてきたのですが、やはり、今現在、現役でご活躍の演奏家の皆さんの口から、関西楽壇の昭和の取り組みの記憶を語っていただくと、説得力は桁違い。

わたくしにとっても、毎回、本当に勉強になることばかりでした。北浦先生、藤井先生、小餅谷先生、矢崎先生、どうもありがとうございました。

来週は、箏・胡弓の小牧先生をお迎えして、「宮城道雄と大阪」です。

http://www.city.habikino.osaka.jp/hp/menu000003600/hpg000003565.htm#wed-6