日本は「ゾウガメの島」であると主張する人々

日本は「辺境」であり、その文化風土は「ガラパゴス的」である、という内田樹と梅田望夫の抱き合わせみたいな言説は、学問的、書誌学・文献学的に検証されて使用可能な状態になっているのだろうか。日本特殊論の一種で、素性の怪しいバズワードだと思うんだけどなあ。

この島にも宗教や儀礼や文化や経済が、「歴史」と言いうる資料が残っている時期だけでも数千年存続していて、それは、何らかのしかたで世界システムに組み込まれているはずだが、世界システムにこの島が組み込まれるやり方を「辺境」の一語で総括しうるのかどうか。高度成長後のこの島の都市文化(佐々木敦が何の定義も説明もなく「ニッポン」と表記する時空)においてその「辺境」性が際立っているとする根拠は何なのか。そしてそのような「辺境」性を仮に認定できるとして、その「辺境」性が、太平洋の反対側の進化論上の特異性で知られる島々の名前で呼ばれる根拠は何なのか?

「極東の島」と自然主義的に名指してもよさそうな地域を、期間限定のジャーナリズムや金儲けの語彙に安直にすり替えたままで知的言説を構成するのはとても危うい気がします。それは、「進歩史観」というバズワードを自説の根幹に埋め込んでしまった失敗の二の舞じゃないか、という懸念をぬぐえない(吉田寛へ)。

追記:

ガラパゴス諸島(ガラパゴスしょとう、スペイン語: Islas Galápagos [ˈizlaz ɣaˈlapaɣos]、英語: Galápagos Islands)は、東太平洋上の赤道下にあるエクアドル領の諸島。Islas Galápagos は「ゾウガメの島」という意味で、スペイン語でゾウガメを意味する galápago からきている。正式名称はコロン諸島(スペイン語: Archipiélago de Colón)で「コロンブスの群島」を意味する。

ガラパゴス諸島 - Wikipedia

「ガラパゴス」は通称で、行政は別の名前を採用しているんですね。