2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

体系と制度:usus modernus pandectarum

modern に相当するラテン語 modernus は比較的若い言葉であるらしいと知り、現状の肯定というか、「昨今、当節」を特定の時代として切り出すという発想自体が、近世とか近代に特有であると言わざるを得ないのかなあ、と思ったりする。でも、「他人を思い遣り…

「白鳥の歌」と変ロ長調ソナタ

Schwanengesang/Piano Sonata D960アーティスト: F. Schubert出版社/メーカー: Harmonia Mundi Fr.発売日: 2012/04/10メディア: CDこの商品を含むブログを見る NMLで見つけたのだが、ゲルネのシューベルト歌曲プロジェクトの第6集、「白鳥の歌」でエッシェン…

哲学の歴史社会学

では、ホンモノの哲学とは何か? 前回にもちょっと触れましたが、存在とか認識とか自我とか時間とか、いやずっと絞っていくと、「存在」と「認識」だけでいいかもしれない、アリストテレス、いやもっと前から天才哲学者たちが問い続けてきた根源的テーマに関…

80年代の男たち

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スタンダード・エディション [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2007/08/17メディア: DVD購入: 1人 クリック: 128回この商品を含むブログ (214件) を見る 80年代を映画のなかで意識的に様式化した作品は、…

黛敏郎と武満徹

黛敏郎:シンフォニック・ムード/バレエ音楽「舞楽」/曼荼羅交響曲/ルンバ・ラプソディアーティスト: ニュージーランド交響楽団,黛敏郎,湯浅卓雄出版社/メーカー: Naxos発売日: 2005/03/01メディア: CD クリック: 9回この商品を含むブログ (3件) を見る このC…

中間者の贅沢

「普遍」の話をしようと思うとこれ、ということになるのでしょうか。 普遍論争 近代の源流としての作者: 山内志朗出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2008/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 102回この商品を含むブログ (50件) を見る いつものように、入…

人文学のミクロとマクロ

「かたち」の哲学 (岩波現代文庫)作者: 加藤尚武出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/08/19メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログ (8件) を見る 「かたちの哲学」を読んで、「主観・客観」系で世評の高い哲学者が、デカルトやフッサ…

中止

ネーメ・ヤルヴィがHIROSHIMAを指揮する、という話は立ち消えになったらしい。作品自体が本当に消されてしまうのか。

哲学者のものは哲学へ

直観 Anschauung ということを言い出すと、哲学と科学(数学)と芸術がひとつに溶け合う境地にたどりついてしまいそうだ。ついでにこれを仏教の般若に結びつけると、それが松下眞一なんじゃないか、と思いついた。19世紀末の総合芸術に変わる知と芸術の総合…

イオランタ姫は耳がいい

METライブビューイング最終日。チャイコフスキーのイオランタって、こういう話だったんですね。盲目のお姫様のお話だとは聞いていましたが、こんなに直球勝負で話が進むとは。白い薔薇と赤い薔薇の場面で身を震わせて号泣(あれは「目の悪い子」が必ず一度は…

僕たちの嫌いなドイツ

ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫)作者: ゲーデル,林晋,八杉満利子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/09/15メディア: 文庫購入: 17人 クリック: 122回この商品を含むブログ (65件) を見る フッサール(モラヴィア生まれのユダヤ人だったんですね)は数…

「社会と私」系人文学と独断系・直観系現象学

[フッサールをそこまで悪く言うものではないと思い直して、少し修正] 「かたち」の哲学 (岩波現代文庫)作者: 加藤尚武出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/08/19メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログ (8件) を見る ひととおり最後…

是々非々

サントリー音楽賞受賞とのことだが、先日の定期演奏会、とくに前半のモーツァルトのコンチェルトは、オーケストラもいいところがなかった。京響は、色々周到にお膳立てすると見栄え良く上手に演奏するのだけれど、逆境に脆い。これは前からそうで、今もそん…

師弟連続体について

吉田寛先生の「“音楽の国ドイツ”神話の系譜学」シリーズに半月取り組んだわけだが、読んでいただければわかるように他人事ではないという気持ちがあって、それは、このシリーズを読むことを通じて、西洋音楽研究のあれこれを整理できるのではないか、という…

承前:鍵盤の操作は抽象か?

ただし、先日届いた音楽学機関誌を読んでいると、ストラヴィンスキーのピアノ音楽研究書の書評が掲載されていて、彼が「オブジェ」みたいなことをさかんに言っていた時代のピアノのカタカタ動くメカニックな音型を指回しのエクササイズの応用で作りだした形…

抽象化の動機と意義

http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/26520872.html「無調のフーガなど認めがたい」という主張は、「普遍者は存在するか」という議論と早晩どこかでつながる。 ワードマップ現代形而上学: 分析哲学が問う、人・因果・存在の謎作者: 秋葉剛史,倉田剛,鈴木生…