2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

温故知新

http://www.classicajapan.com/wn/2015/03/161046.html浅草オペラから藤原義江まで、カルメンやモーツァルトは、有名なナンバー(原語の場合もあれば訳詞の場合もある)を日本語の台詞でつないで上演していたようなんですよね。「モーツァルトのレチタティー…

allgemein

[当面、単なる読書メモです]An Universal History (London, 1736-1744) を Siegmund Jacob Baumgarten が独訳したときの題は、Uebersetzung der Allgemeinen Welthistorie (Halle, 1744) であるらしい。一方、Charles Burney の有名な音楽史のタイトルは、A …

現在形の偽

偽善が積もると、ごく稀に善に転じることがあり、稀であるがゆえに大きく喧伝されて偽善のイメージアップに貢献するが、偽善から善への移行が偶然なのか必然なのか、おそらく立証不可能な信仰の領域である。だからといって、白黒はっきりせよと迫るのは、む…

コンサート音楽としての映画

シカゴ響がスペース・オデッセイを立派に上演したそうで、色々考えたくなりますね。(クラシック音楽を使った映画をコンサートホールで、というシカゴのコンセプトからは外れそうだが、クロサワの「羅生門」は関響が音を入れているのだし、早阪の楽譜が残っ…

現在形の消滅

https://twitter.com/smasuda/status/576395733504421888もし「戦争」という語をこのような意味で用いるのが適切なのだとしたら、今現在は既に戦争状態であることになると思うのだが(実際今ウクライナやアラブは戦争してるし、日本のジャーナリストや「元首…

大学論・中間決算

前に、日本音楽学会がどういう経緯で創られたのか、を調べましたが、http://www3.osk.3web.ne.jp/~tsiraisi/musicology/article/msj.html結局のところそれは、戦後の学制改革でそれまで「大学」ではなかった分野が大学化して、それに伴い、当該分野の学会が…

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宗教上の理由で呪いはお断りしたい。だが歴史に普遍を求める立場は採用しない。

歴史と修辞学の思考速度

[ http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20150310/p4 のつづき]普遍の世界に生きる人の目に「歴史」がどのように見えているのか/見えていたのか、ということを想像してみた。古代ギリシャの頃から、今日では「歴史書」とされている文書が様々に書かれているし、…

能力は嫉妬の対象か?

「民間」は人を選ぶ。「公共」は万人に開かれている。この違いだけはいかんともしがたいのではなかろうか。夏目漱石の倫敦塔の「二個の者が same space ヲ occupy スル訳には行かぬ」というやつだ。選ばれた者に対して猛烈な嫉妬に狂う、という熱い振る舞い…

「大学人のなり損ない」とは何者か

「人文系大学人(またはそのなり損ない)」という文言を見つけて、この言い回しはどのような範囲を指しているのか、考え始めると存外ややこしそうなので、とりあえず「人文系」を外してみることにした。「大学人」と「大学人のなり損ない」「大学人」が何を…

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(蛇足ながら書いておくと、共通教育賞なるものの「フォロー」と言っても、余得が何かあった、とか、こちらがそういうものを期待した、とか、そういう卑しい感じの話じゃないよ。何年も経ってから、「過去の受賞者は以下の書式で所感を書け、学内便で○○学部…

追記:「人文系になり損なった大学人」

愚劣な話題は、考えているうちにどんどん気分が悪くなるので簡単な追記で打ち止めにするが、「人文系大学人(またはそのなり損ない)」という文言は、下のエントリーのように「人文系」という限定を外して考える解釈とは別に、人文系大学院を出て、なおかつ…

民間の「企業」に倣うvs民間の「大学」に倣う

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20130227/244292/こんな記事が注目されたりしているようですが、考えてみたら、大学人がしばしば反発するとされている「大学はもっと民間を見習うべきだ」のスローガンは、大学経営を民間企業経営と同じ発想…

歴史と普遍

歴史は普遍たり得るか? 普遍史(ふへんし、英: universal history)は、聖書が叙述する内容に基づくキリスト教的史観から構成された世界史。それは天地創造に始まり最後の審判で終わる、未来をも含む有限の時間軸を範囲とし、空間的にはすべての世界を含ん…

オーケストラで声色を指定する

バロンビの好演で、晩年のヴェルディのオーケストラが「ここはこういう感情だからこういう声」という風に、歌手の声色を間接的に示唆しているのだということを教えられた。晩年のヴェルディはワーグナーの影響を受けたと言われたりして、具体的にはライトモ…

事前の関与

左翼人文学者は経済と財界への愛が足りない。(とりあえず言ってみた)

ネトサヨ

疎外論とか日本の湿った風土への呪詛とか、ベタな話題をどんどん書くのは、ネトウヨ相当のネトサヨと呼べばよいのであろうか。運動を組織しない泡沫感とか、数は少ないけれども声がでかくて執拗なところとかを含めて……。

「疎外」の件

左翼で行こう、左翼的心情に訴えるスローガンを打ちだそうとするときの必殺技のひとつが「疎外」概念であるとされてきたように思うのだが、日本語の「疎外」はややこしいので、おさらいしておきたい。別に自分が左翼で行くぞ、ということではなく、あさって…

最先端技術としての聖歌写本

……ということで、アウグスティヌスを考えるために『声と文字』を読み直してみたのですが、 声と文字 (ヨーロッパの中世 第6巻)作者: 大黒俊二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/02/26メディア: 単行本 クリック: 30回この商品を含むブログ (12件) を見る…

……

で、さっぱり話の流れが見えないのだが、教育再生実行会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/)が提言をまとめたという報道と、http://www.nikkei.com/article/DGXLZO83966380U5A300C1CR8000/三木谷氏なる人と夏野剛氏なる人が2年も前の対…

古代の個人:叙事詩・哲学・告白

少し中断しましたが、極私的古代ローマ探訪に戻ります。 アウグスティヌス―“私”のはじまり (シリーズ・哲学のエッセンス)作者: 富松保文出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (16…

逆も真/頑固と自由

http://blogs.yahoo.co.jp/katzeblanca/26461962.html「楽譜が存在することで音楽にアクセスする敷居が下がり、裾野が広がったのではないか」という意見は、日本の洋楽受容でもおなじみですよね。それから、ゲオルギアーデスなどが書いていたかと思いますが…

夢を売る九州人

夢売るふたり [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2013/03/06メディア: DVD クリック: 9回この商品を含むブログ (28件) を見る 松たか子は素晴らしい、ということに尽きるわけだが、一昔前なら「関西人」に設定されていたであろう主役の結婚詐…

啓蒙の弁証法

は、「やってもロクなことにならないから、啓蒙なんてやめちまえ」なの? たぶん違うと思うよ。やる前に「こうだろうなあ」と考える予測と、ひととおりやったあとで見える光景はしばしば異なる。「こんなことになるなら、やらなきゃよかったよ、トホホ」と愚…

いにしえの精霊の依代

メディア考古学:過去・現在・未来の対話のために作者: エルキ・フータモ,太田純貴出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2015/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る ニューメディアは技術革新が速いといっても、たかだか数十年から百…

補遺:疑似考古学の「通奏低音」

フーコーとかそのあたりが「知のアルケオロジー」を言い出したのは、 (a) 図書館に籠もる文献研究もまた行動である、それこそが人文学者の行動である というのと、 (b) 言葉(主として書き言葉=文字)は仮象ではなく物質である というのがある、という理解…

発掘なき考古学の怪

人文学者のみなさま!まさか、とは思いますが、自分が体験的に知らない時代の感覚・知覚を仮説的に再構成する作業は、すべて「アルケオロジー」と呼んで良い、などと思ったりしていないでしょうね。それはごく普通の歴史学(もしくは文学)ではないのか。少…

設備投資

日頃から細々した書類を整理しておいて、スケジュール管理とか確定申告とか、そういうのが火事場の大騒ぎにならないようにしておくのは、個人営業のリスク管理、ものを整理しやすいように片付けたり、場所を確保したりするのは設備投資というやつですな。利…

九州人

「九州の人間はみんなこげな話し方ばするとたい。おれらの言うこと、話半分で聞いてもらわな、いかん」三谷幸喜(←九州に親戚が多いと言っていたような気がする)のオリエント急行にこんな台詞があって、名探偵さんは、しどろもどろの証言を「普通はあんなも…

言葉の牢獄

(a) 言葉というものは、本質主義から遠く離れて、運用における働きを見なければならない。「作品」という言葉がアカデミックな美学理論とは異なる仕方で流通しているポピュラー音楽ジャーナリズムは、本質主義的な規範を参照しながら「誤用」と判定・批判さ…