2010-01-01から1年間の記事一覧

会場の音響良好(告知:連続講座「おおさか興味深深(しんしん)」第2回:「「夫婦善哉」がオペラになった!?―大栗裕と大阪の洋楽史」)

etc

講演会、週末に迫ってきました。先日、大阪市立中央図書館へ史料調べ(地元大阪関係の資料が充実しているので最近よく利用します)と会場の下見・打ち合わせを兼ねて行ってきました。大会議室は、舞台があって、後方へ向かって客席が高くなっていくミニ・ホ…

44歳、男性、大阪府在住、匿名希望の白石知雄より

etc

件名: ●●大の●●です失礼します。白石知雄様、●●先生のご紹介で、メールいたしました。●●[大学名]の●●でございます。実は私、×年間、●●学会に多様な意見を反映させるべく●●●●として努力してまいりました。学会運営にも多様な出身大学の方の意見や、△△学会のご…

世間は狭いか…

etc

何の気なしにネットの海(←死語気味の比喩でしょうか)を彷徨っていると、柴田純子さん(柴田南雄夫人)のこのような一文が。 昨年、大阪の未知の女性から、《優しき歌》を歌うので資料を見せてほしいという手紙をもらいました。たしか加納さんのMDコピーの…

ジョン・ケージの著作権

etc

納得させられるエッセイで、それにつられてあれこれ考えるうちに素朴な疑問が。 事実、そうした彼の「思想」は多くの人々に有形無形の影響をかつて与え、今も与え続けている。しかし、演奏のかなりの部分をその演奏者がつくりあげ、その成否についても責任と…

戦後関西の舞踊と洋楽:花柳有洸の創作舞踊「雪女」(大澤壽人作曲)と「円」(大栗裕作曲)のこと

etc

NHK大阪の「よみがえる関西のオーケストラ作品」という企画は、大阪中央放送局JOBKが昭和の音楽家たち、大澤壽人や服部良一、朝比奈隆や大栗裕を同じ土俵にのせる重要な文化装置だったことをはっきり示してくれたことが画期的だと思うのですが、モダン大阪の…

武士道vs旦那芸、作曲家の「邦楽の素養」を監査する

etc

大学院時代、昼間自宅にいることが多かった頃にやっていたCX系のメロドラマ「夏の嵐」で、敗戦後、華族の海軍大将(高木美保のお父様役)が、自死する前夜に自室で能を舞う場面があったと記憶しています(脚本:下飯坂菊馬)。旧士族様は、武家の式楽として…

織田作之助と井上靖の戦後関西音楽小説

私が大学へ入った頃は、生協の書籍部に『構造と力』が平積みしてあって、これは通俗的で恥ずかしい勘違いかもしれませんが、その頃翻訳が出たダールハウス『絶対音楽の理念』を、柄谷行人の『近代日本文学の起源』と比較しながら読めてしまうところがあった…

写真で見るホルン奏者としての大栗裕

etc

とりあえず、目下の私のつとめは月末の講演会の宣伝だと思っておりますので、まずはリンクの再掲。大阪市立中央図書館 連続講座「おおさか興味深深(しんしん)」第2回:「「夫婦善哉」がオペラになった!?―大栗裕と大阪の洋楽史」http://www.city.osaka.lg.…

「「夫婦善哉」がオペラになった?!」NHK公開録画完了と、8/28講演会のお知らせ

etc

本日は、NHK大阪放送局開局85周年記念「よみがえる関西のオーケストラ作品」公開録画。大栗裕の歌劇「夫婦善哉」(一部)とラジオミュージカルス「待てど暮らせど物語」。三善晃の音楽劇「金の魚の話」。宮原禎次の「大大阪」。ひとつだけでも目玉企画にな…

おおさか、夏祭り(あわせて、大栗裕「大阪俗謡による幻想曲」のだんじり囃子のこと)

etc

[7/28 後半を断続的に書き足しております。]大阪の夏祭りは、新暦でも暦の日付のままなので、毎年ちょうど梅雨明けの時期とぶつかる7/12の生國魂神社から月末の住吉大社まで、7月に相次いで行われる、そういうことになっているそうです。(一方、京都の送り…

十年一日

etc

予定だと、そろそろ「日経」大阪版夕刊に、いずみシンフォニエッタ大阪の演奏評が出るのではないかと思います。普通に批評しております。PR誌にややこしいことを書いたり、ブログで言いたい放題であったり、加えて演奏評を書いたり、関係者におかれましては…

『音楽芸術』臨時増刊号/別冊「日本の作曲」シリーズ(1959-1973/1999)について

etc

芸術に限らず、一方的に何かを主張するのではない冷静な議論をするには、論証していること(できていること)と、論証していないこと(できていないこと)の仕分け・収支決算が、その都度、ちゃんとできていなければいけないように思います。そんなことを考…

大栗裕とバーンスタインは同い年(追記:アロイス・ツィマーマンも同い年)

etc

京響定期で広上さんが「エレミア」(交響曲第1番)をやったのを聴きに行って、プログラムの解説を読んでいて気づきました。バーンスタインと大栗裕は同じ1918年生まれ。大栗裕が7月、バーンスタインが8月ですから結構近いですね。だからどう、というわけで…

作曲家はオカルトがお好き?

etc

血液型占いとさほど違わない似非科学(そう言われればそうかもしれない、という程度のぼんやりした経験則に、論証のレヴェルが全然違う科学知識をくっつけるのがパターン)の知識で、大風呂敷を広げるとこうなる。http://yoshim.cocolog-nifty.com/office/20…

呪いが解けた?

ブラームスの4番とか、マーラーの9番とか。大植さんが大フィルで作曲家の最後にまつわる音楽を振ろうとするたびに事件が起きておりましたが、呪い(?)は解けたようですね。アルプス交響曲や先のブラームスの1番もそうでしたが、いかにも大フィルらしい…

バカ

[7/9 最後にちょっとだけ追記しています。]「才能がある」という言葉は、何をもって「才能」と呼ぶか定義ができない、いわばブラックホールのような概念。あまりのことにこちらの判断・理解を超えていてお手上げである、ということを表明する讃辞なのだと思…

『作曲家・渡辺岳夫の肖像』

[7/6 一行追記あり。岡田×片山対談本はやっぱり(そのうち)出るみたい。]渡辺岳夫はアニソンの世界に燦然と輝く方。その筋で既に絶大な支持を得ていらっしゃるようですし、私が何か言うのはおこがましいとわきまえております。一気に読みました。 作曲家・…

反動は保守に手を出すな(旧題:音楽は対照実験ではない、という当たり前の認識を今さら丁寧に論証するのは無駄話以上の何かに本当になりうるのか?)

etc

最近、お悩みが深いかのようにお見受けするXさんへの私信:[追記]以下の文章は、あなたがかつて音楽美学専攻の看板を掲げていらっしゃったことに敬意を表して、私の乏しい知恵を絞ってできるだけ厳密、論理的に書こうと心がけましたが、先程改めて当該ブロ…

8/5(木)NHK大阪公開録画、大栗裕の歌劇「夫婦善哉」あり!

先日お知らせしたNHK大阪放送局開局85周年記念「よみがえる関西のオーケストラ作品」公開録画。http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0062241/index.htmlNHKの告知ページには出ていないのですが、大栗裕の歌劇「夫婦善哉」も、さわりの部分が演奏されます。部分…

大栗裕の室内管弦楽作品

etc

大栗裕の楽譜をひとつずつ見ていくと、ときどき、分類に困るケースに遭遇します。たとえば交響的物語「杜子春」(1957年)。これは、プロコフィエフ「ピーターとおおかみ」をも意識した音楽物語(朗読と管弦楽)ですが、関西歌劇団の歌劇公演で初演されて、1…

私信:ブログ上でお問いかけの件につきまして

etc

○○様はじめまして。○○様のブログは、関西のクラシック・コンサートからミュージカル、落語、吹奏楽まで、幅広く楽しんでいらっしゃるのが手に取るようにわかって、いつも興味深く読ませていただいております。ミュージカル、落語、吹奏楽などバラエティ豊か…

「大阪俗謡による幻想曲」作曲は1955年ではなく1956年

etc

大阪大学音楽学研究室の『阪大音楽学報』に 大栗裕《大阪俗謡による幻想曲》自作解説への注釈 -- 1956年の二つの先行器楽作品および大阪の祭り囃子について -- http://www3.osk.3web.ne.jp/~tsiraisi/musicology/article/ohguri-fantasia-osaka2.html という…

「よみがえる関西のオーケストラ作品」NHK大阪公開録画

もし戦後関西にローカルな特色があるとしたら、たぶん、舞台・コンサートと同じくらいNHKと民放各局が重要。タカラヅカの「ベルサイユのバラ」も、吉本新喜劇も、実際の劇場で観た人の数倍がテレビで知ったはずですし、関西歌劇団に勢いがあった頃には、大阪…

最近書いた文章のこと、大阪音楽大学の大栗文庫ミニ展示のことなど

etc

近況、最近の仕事などのご報告です。

続・反米考(黒澤清+蓮實重彦『東京から 現代アメリカ映画談義』の「ヤンキー・ゴー・ホーム」、武智鉄二演出「赤い陣羽織」の空手チョップ)

etc

東大教養部関係者の本の引用が続いてしまいますが、蓮實重彦が『ユリイカ』での対談をまとめた近著の書き下ろし巻頭文には、次の一節が。 ところが、なぜかうまく説明できないのですが、当時[1950年代]の私の頭の中で、アメリカ映画とアメリカ合衆国とが素直…

プッチーニ「蝶々夫人」のアメリカ批判

etc

[6/1,2 記事の真ん中あたりに、あれこれ補足しております。]マスコミ報道だけを眺めていると、何がどう問題なのか、さっぱりわからなくなってしまう今日この頃。先日、こういうご指摘を見つけました。 たとえばプッチーニのオペラ『蝶々夫人』が、イタリア人…

延原武春&大フィルのハイドン「驚愕」とベートーヴェンの第四交響曲(大阪フィルハーモニー交響楽団いずみホール特別演奏会)

延原武春さんとテレマン室内オーケストラは、昔、朝比奈・大フィルが年末の第九をものすごい回数やっていたころに「100人の第九」で話題になっていたのを知ってはいましたが、実際にわたくしがいろいろな演奏会を聴かせていただくようになったこの十年く…

大阪センチュリー交響楽団のメンデルスゾーン「賛歌」(歌の「古さ」の分析試論)

[5/15 後半部分、「バッハのコラール」と「荒城の月」の話を追記しました。5/16 その後こまめにあちこち直しています。]本日は大阪センチュリーの定期で高橋悠治の新作披露とメンデルスゾーンの交響曲カンタータ「賛歌」(交響曲第2番)。高橋悠治作品は、…

土曜日の夜のNHKと「昭和」の自意識

etc

地上波総合テレビが午後9時から「チェイス」というドラマをやっていて音楽が菊地成孔で、色々なジャンルの音にほんの少しずつドーピング気味に手を加えた音が次々聞こえてきて、BS-2では、午後10時から「ドレミファワンダーランド」で宮川彬良が大活躍。…

大原総一郎とモダン・アート、矢代秋雄のピアノソナタのことなど

etc

前のエントリーに書いた外山雄三さんのこともそうですが、大阪や大栗裕を起点にして戦後の音楽を眺めようとすると、網羅的であることを目指したかもしれない『日本戦後音楽史』のような前衛音楽論からきれいに抜け落ちているところに、どんどん入り込むこと…